- 作者: 森元良太,田中泉吏
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2016/08/26
- メディア: 単行本
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http://leeswijzer.hatenablog.com/entry/2016/09/10/102132
少し前にこのエントリを読んで、面白いなと思った。正直なところ生物って分野には疎いし、生物学となるとますますで、「生物学の哲学」というともうなにがなにやらという感じだ。だからエントリ内で紹介されていたこの本が逆にちょっと面白そうだと思えて、読んでみた。
生物ってものはそこら辺にごろごろいて、それを人間がどう把握するか、どう体系づけていくか、ということで生物学ってものが形づくられていく。その把握や体系の根っこにある考え方とかものの見方というのが「生物学の哲学」なのだと思う。
だからこの本では進化論とその進歩/洗練にすごく多くのページが割かれている。読んでみると進化論について全然知らなかったなというのは思うところで、批判や揺り戻し、新たな考え方や手法の導入などで、最初は大きくて漠然としていた理論がだんだん細部をうまく説明できるようになっていくさまはそれなりに面白くはあった。
種問題は6章になってやっと出てくる。種の定義とその変遷。上のエントリでも書かれていたし、ぼんやりと想像したこともあるけれど、種という概念はつきつめるほど定めがたいものになってしまう。本書ではそもそも「種」ってものはあるの、みたいな話すら出ている。まるで理解できない話じゃないし、微生物になると遺伝子が水平伝播するから巨生物(←→微生物)と同じ決め方だと破綻する、なんて話も目から鱗ではある。
でもまあ、すっきりしない。おれは種ってものをはっきり決めてほしいのだ。それはおれの日常における生物に対する関心にもっとも強く結びついているからだ。この美しい小さな花がなんという種なのか知りたいのだ。知ることによって世界を把握したい。いやもちろんそんなレベルであれば慣習的な「種」で充分なのはわかっているのだけども。
そういうわけで、not for me、というかんじ。あるいは i am not smart enough、かもしれん。入り口はのぞいたけど、ここで引き返そう。
本そのものは読みやすいので、興味がある人は挑戦してみるといいと思う。
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0809/200809_060.html
生物の種とは何か -- 日経サイエンス 2008年9月号
種問題関係ではこの記事も面白かった(これもブコメしたけど)。記事全文ちょっと読んでみたいなと思ったけど、単体の PDF で 700 円とかでさすがに手が出ない。