黄昏通信社跡地処分推進室

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『奈良原一高のスペイン――約束の旅』 於世田谷美術館,2019-11-23〜2020-01-26

ちょっと理由あって、これに行った。
公式ウェブページ:奈良原一高のスペイン――約束の旅

奈良原一高については名前も知らなかった。三十歳の頃妻とともに撮影のためスペインに赴き、そのままそこに魅入られてほぼまる三年滞在し、自ら車を運転してスペイン各地を巡って写真を撮り続けた、のだという。その写真の中から 120 点、それとその他ヨーロッパの写真を少々、あとは帰国後の仕事をいくつか、という感じの展示だった。
写真そのものの技巧とかはわからぬ。わからぬが、すごくくっきりした写真だな、と感じるものが多かったように思う。それは被写体のスペインの街や人々によるのか、それともやはりそういう風に撮っているのか、その両方なのか。でもこの人が同じように日本を撮ったとしてもきっと同じようにはならなかっただろうなという気がする。そして写っている人々が、やはりなんだか妙にはっきりしているのだ。もちろんそういう顔立ちの人たちだからということもあろうけれど、切り取られている表情や一瞬の動きが曖昧でない。踊っている人の写真もいくつかあったが、本当に身体全体で踊っていて、「なんかこのおっさんの踊ってるところ見てみたかったな」なんて思わされてしまう。
あとは、あまり大々的にはフィーチャーされていなかったけれど、奈良原が本当に魅かれたのは闘牛であったようだ。闘牛と闘牛士の写真はたくさんあったし、本人が買って帰ってきたという闘牛士のマントなんかも展示されていた。それはそれでかっこよかったけど、闘牛に魅かれる気持ちにはおれは共感できないので、それ以上伝わってくるものはなかったかな。

見終わってから、地下のクレープ屋さんでお昼ごはん。見た目ちょっと物足りない感じだけど、意外とボリュームがあって、この日はそこまでおなか空いてなかったこともあってちょうどよかった。おいしかったです。