黄昏通信社跡地処分推進室

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入院 (5)

朝も吐く。洗面所のところで吐いていたら、ちょうど看護師さんが通りかかって、やっぱり管を入れた方がいいですね、とのこと。お願いしますと伝えると、わりとすぐに準備がなされて管を入れられる。やわらかい、点滴よりは少し太めのシリコーンか何かの管の先端になにか潤滑剤だか麻酔薬だかその兼用だかみたいなとろっとしたものを塗布したやつを鼻の穴から差しこんでいくのだ。「のどのところにきたらごっくんってしてください」ごっくん。うげー違和感。鼻から出たチューブは点滴台に装着した四角いプラスティック袋まで繋がっている。これで腸に行かない胆液はその袋の中に流れ落ちることになったわけだ。少なくとも外見的にはいよいよ病人じみてきた。
しかしこの措置のおかげで劇的に楽にはなって、午前中二時間ぐらい続けて寝ることができた。記憶にある限りでは二時間連続で眠れたのは手術前日以来だった。
この日は兄夫婦が来てくれた。兄はなぜか日経新聞を買って来てくれたが、これはこの翌日から三日ぐらいかけて読んだ。まだ熱もあってそれほどしゃべれず、管が入っていてますますしゃべりづらかった。
寝たり起きたりしていると母が来る。熱が下がったタイミングで結構長くしゃべった。疲れて少し寝たりもしてたのだが母はいてくれて、またその後しゃべったりした。メローゴールドという果物の話を聞く。ざぼんとグレープフルーツをかけあわせた果物なのだそうで、とてもおいしくて実家では最近はまっているらしい。この話を聞いて手術以来初めてなにかをおいしそうだと感じた。とはいえ、食事の時間になって病室に食事の匂いがただよっても、まったく食欲はわかなかった。
悪いことは続くもので、娘もインフルエンザが発覚。妻はおれがいない中独りでインフルの子どもたちふたりをみていることになる。本当に申し訳ない……。