黄昏通信社跡地処分推進室

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入院 (9)

だんだん夜寝るのがかえって難しくなってきた。昼間ごろごろしてるのは変わりない上に体力が回復してきているからではないかと思う。ひとたび目覚めちゃうとけっこう寝つけなかったりする。
この日はレントゲン。書いていないが二日に一度必ず撮っている。もう1階に行くのも楽勝で、横になるのもほとんど苦労がない。とはいえ撮った画像見せてもらえるわけでもないので面白くもないのだけど。
シャワーを浴びてみることにする。ナースステーションのところに予約ボードがあるのでそれに書いておくというまあまあ原始的なシステムで、一人当たりの枠は 30 分。問題は点滴中ということで、それは一旦中断しなければならない。看護師さんにお願いしてやってもらう。一番近いジョイントのところからチューブを外し、そこから手首側に残る方の管ヘパリンシリンジというやつで液体を少量注入する。血が固まらないようにする薬剤らしい。それから管をくるくる巻いて手首にあてがい、そのうえからビニール的なものでぐるっと巻いて、その両側をテープで一周ずつ留めて水が入らないようにする。これはなかなか大変。
シャワーは 30 分もあれば余裕だぜと思っていたがさすがに一週間以上入ってないとけっこう身体も汚れていて、思ったより時間がかかってぎりぎりに近くなってしまった。さすがにさっぱりした。ドライヤーも貸してもらえて、髪を乾かしたあとまたナースステーションで点滴の処置を元に戻してもらう。
お昼前、看護師さんに「先生から聞いてます?」といきなり訊かれる。聞いてません、と答えるとお昼からお食事が出ます、とのこと。おお、ようやく……! というわけで昼から流動食が始まった。最初のメニューは「重湯、ホットミルク、うめびしお」。うめびしおもなんかパックに入ったやつである。それでも本当にひさびさの食事、至高の味とはいかぬまでも、しみじみおいしかった。
午後また妻が来てくれて、談話室でしゃべる。まだ子供たちは家にいるので退屈するわおたがいに喧嘩するわで大変らしい。気の毒なり。テッド・チャン『息吹』を持って来てもらった。
晩ごはんは「重湯、ポタージュ、うめびしお」。ホットミルクがポタージュになっただけやないかい! とはいえ、流動食にそんなヴァリエーションがあるはずもないし必要ないのだろう。
『本へのとびら』あっという間に読んでしまった。宮崎駿岩波少年文庫から 50 冊選んで若い人に勧める、という企画なのだけど、最初選んだら十冊ぐらいで終わっちゃったとか、しょうがないから読んだことない本もけっこう入ってるとか、わりとむちゃくちゃなんだけどハヤオだからな……みたいな本。E. H. シェパードをめちゃくちゃほめてるのが印象的。「すばらしく上手な人」「こいつをアニメーターにしたらすごかろう」とのこと。たしかに引用されてる絵はどれもめちゃくちゃ上手いです。

食事リスト。

  • 昼:【流動食】ホットミルク、重湯、うめびしお
  • おやつ:メイバランス(なんか甘い)
  • 夜:【流動食】ポタージュ、重湯、うめびしお
  • 19 時:アルジネード