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NFL 2021 -- Divisional Playoff

レイオフ二回戦、いよいよ No.1 シードの登場だ。

Cincinatti Bengals (10-7; AFC #4(North)) @ Tennessee Titans (12-5; AFC #1(South))

レイダーズをなんとか下したベンガルズを待ち受けるのは、AFC #1 のテネシー・タイタンズ。中盤もたついたが 12-5 でまとめてここに臨む。好材料はなんといってもデリック・ヘンリーの復帰。Week 8 を最後に戦列を離れていた“キング”ヘンリーが万全であれば、これはもう不在の時とは別のゲームであると言ってもいい。
しかしタイタンズはオープニングドライブの最初のスナップで出鼻をくじかれてしまう。コールはヘンリーのプレイアクションからのフリオ・ジョーンズへのロングパス。これがジョーンズと合わず、素早く入ってきた S ベイツ三世にインターセプトされてしまう。昨季のタイタンズはヘンリーがフィールドにいる時の 1st ダウンでは 100% ヘンリーのランをコールしたという。裏をかいたつもりだっただろうが、ランプレイに対する不安を露わにしてしまったし、あげく半ば読まれていた。少なくともこの最初のファーストダウンだけはヘンリーで行くべきだったと思う。
とはいえディフェンスが頑張ってフィールドゴールにとどめ被害を最小限に抑えると、前半はおたがいのディフェンスが優位で展開する。ベンガルズはもう一本 FG を追加して、6-0 とリードを広げた。タイタンズが反撃の糸口をつかんだのは 2Q 前半で、いきなりタネヒルが A.J. ブラウンへのロングパスを通すと、短いパスとヘンリーのランでどんどんゲインする理想的な形でタッチダウン。あまりゲインもできていなかったところから一気に同点に追いついた。PAT はキックを狙おうとしたところでベンガルズのイリーガルサブスティテューション(12人居た)があり、ツーポイントに切り替えるもヘンリーがノーゲインで止められて失敗。このあと返しのドライブでベンガルズはバロウがパスを通しまくるも、レッドゾーンまで行ったところでサックで止まり、マクファーソンが FG を決めて 9-6 となって折り返した。

後半はベンガルズの先攻で、エヴァンズの好リターンで 35 ヤード地点から始めたドライブを見事にタッチダウンに持っていく。途中で一回サックは受けたものの、2nd&16 を慌てず二回に刻んで(二回目はスクランブルだったけど)1st ダウンを取ったあたりはさすがバロウというところ。最後はミクソンが 16 ヤード走ってタッチダウンを決めた。返しのドライブ、タイタンズはヘンリーのランを三回続けた後二番手 RB ドンタ・フォアマンがロングゲイン。45 ヤードのランで一気に9ヤードまで攻め入るが、ここでタネヒルのパスがわずかに低く、インターセプトを喫してしまう。取られてすぐに取り返すかに見えたところでのターンオーバーはけっこう痛かった。
ところがベンガルズはパント、タイタンズフィールドゴールを返して 16-9 となったあと、バロウが六試合ぶりとなるインターセプトを自陣で喫してしまう。ディフレクトされたボールをフッカーが地面すれすれで捕り、その後ボールは地面に着いたのだが、長いレヴューの末確保が先とみなされ判定通りのインターセプト。これは試合の行方を左右しかねない際どく重い判定だった。ともあれこれで得た攻撃権をタイタンズはきっちりタッチダウンまで持っていって、16-16 の同点に追いついた。
返しのドライブ、ベンガルズは敵陣 32 ヤードまで侵攻するも、バロウがサックされて FG 圏内から追い出されてしまい、パント。その返し、タイタンズも敵陣 35 ヤードまで進んだものの、4th&1 をギャンブルして、頼みのヘンリーがノーゲインで攻守交替。次のベンガルズのドライブは 15 ヤード進んだがサックで 10 ヤード下げられてパント。そしてタイタンズ 16 ヤード地点からの攻撃、残り 2:43 なので FG 圏内まで行って時間を使い切れればベストなシナリオだったが、自陣 40 ヤードからタネヒルがこの日三回目のインターセプト
最後は自陣 47 ヤードからのベンガルズのドライブ、0:20 しかなかったもののタイムアウトは二回。そしてここで何故かジャマール・チェイスにパスが通せるのがバロウのすごさ。19 ヤードのゲインで一気に FG 圏内に突入すると、ランプレイを二回続けて時間とタイムアウトを使い切り、マクファーソンが 52 ヤードの決勝フィールドゴールを決めた。

タイタンズはヘンリーが 20 キャリーで 62 ヤード。ヘンリーとしては凡庸としか言いようがないスタッツで、あるいは怪我明けで影響があったか。タネヒルも不運なディフレクトもあったが3インターセプトはいただけず。ディフェンスが仕事をしていただけに、オフェンスが足を引っ張る格好になってしまった。ベンガルズはバロウが倒しも倒されたり実に被サック9と、レギュラーシーズンから変わらず悲惨なオフェンスラインを露呈したが、それで 28/37-348yds というのはちょっと化け物じみた数字である。これで二連勝。球団史上初となるポストシーズンのアウェーゲームでの勝利となった。あれよあれよとカンファレンスチャンピオンシップに進出、さすがに次は厳しそうだが、さて。

最終スコア:CIN 19-16 TEN

San Francisco 49ers (10-7; NFC #6(West)) @ Green Bay Packers (13-4; NFC #1(North))

日テレジータスオンデマンドでこの前の試合の解説をしてた小坂恭平氏が、試合後の余った時間でこの試合についてちらっと聞かれて、フォーティーナイナーズについて「パッカーズからすると一番嫌な相手が勝ち上がってきた」と言っていて、当たる可能性があったのはラムズカーディナルズ、イーグルズ、フォーティナイナーズのはずだけど、なるほどその中では一番嫌な相手かもしれないと思った(まあラムズじゃないの?とも思うが……)。
さておき、あほみたいに寒いランボー・フィールドでキックオフ。試合開始時の気温が氷点下の試合でスターターをつとめた時の成績はロヂャースが 16-8(アメリカ人冬の試合の寒さ自慢大好きで、ちょっと気温が下がるとすぐ昔のめっちゃ寒かった試合の映像が出てくる)、ガロポロッは 0-0。ペイトリオッツに四年ぐらいいたはずだけどなんせブレイディの控えだったのでスターターはやったことがないらしい。
パッカーズはオープニングドライブでタッチダウンをあげる。3rd ダウンすら行かずすいすいとボールが進み、最後は A.J.ディロンへのタッチダウンパス。これを見たときにはどこまで点が入るものかと思ったが、この後はファンブルロスト、パント、パント、パントと全く攻撃が続かない。フォーティナイナーズも試合開始から四回連続スリーアンドアウトとまったく冴えず、ようやく前に進んだドライブで敵陣9ヤードまで攻め入ったものの、ガロッポロが右にロールアウトしてエンドゾーン手前へ投じたパスがすっぽりインターセプトされてしまう。この返しのドライブでパッカーズロヂャースがジョーンズに 75 ヤードのパスを決めて一気に得点圏に入ったが、サックされて下げられ、ぎりぎりスパイクしてフィールドゴールを蹴ったもののそれもブロックされてしまう。0-7 で折り返した。

後半最初のドライブ、フォーティナイナーズはディーボ・サミュエルがビッグリターンを見せてミッドフィールドから攻撃開始。今度こそ同点にというところだったが 11 ヤード地点までしか行けずに FG を蹴る。スリーアンドアウトを一回ずつ挟んだあと、パッカーズは次のドライブに9分費やす。三度の 3rd ダウンを乗り越え最高で5ヤード地点まで進んだものの、最後はロヂャースがサックされて FG 。これでまた 3-10 になった。返しのドライブ、フォーティナイナーズはじりじり進んでレッドゾーンまでたどり着くも、4th&1 をギャンブルして取れず、3-10 のまま残り時間は 6:10。しかしパッカーズはそこからの攻撃でスリーアンドアウトに終わってしまう。そして今度はパントをブロックされ、弾かれたボールはほぼ真横にふらふらっと上がり、地面に落ちたボールをフファンガが拾い上げてリターンタッチダウンとなった。10-10。
そして次の攻撃もパッカーズはスリーアンドアウトで、残り 3:20 でフォーティナイナーズに攻撃権が回る。ガロッポロは中央へのパスを二本通し、ツーミニッツウォーニングを過ぎると、そこからパッカーズは残りふたつのタイムアウトを連打する。フォーティナイナーズはサミュエルのランを三回続けてコールし、3ヤード、0ヤード、9ヤードとゲインして 1st ダウンを更新した。タイムアウトを使い切ったパッカーズはもうできることがない。45 ヤードのサヨナラフィールドゴールをロビー・グールドが決め、フォーティナイナーズが第6シードからチャンピオンシップに駒を進めた。

まただめだった。ロヂャースがブレイディと並ぶエリートクウォーターバックであることに疑いの余地はない。「……ただしレギュラーシーズンに限る」と付け加えればだが。2010 シーズンに第6シードから勝ち上がってスーパーボウルを制して以来、一度もスーパーボウルに駒を進められてすらいないのだ。もちろんスーパーボウルは一度でも勝っていれば立派だが、レギュラーシーズンの輝かしい数字を見ればもうひとつふたつ勝っていても不思議はない。今回はスペシャルチームの弱さで敗れたけど、パントブロックの前後のスリーアンドアウト、これのどっちかをなんとかしてほしくはあった。
対照的にガロポロはそこまですごいスタッツは残さないけど、勝率は高いんだよね(スターターの試合でちょうど .700 ぐらい)。クウォーターバックの仕事はチームを勝たせること。スタッツが低い QB は長い目で見れば普通はそんなに勝てないからスタッツは重要視されるのであって、スタッツが高い QB が必ずしも勝てる QB じゃないという話も今年カズンズの件でしたばかりだ。ともあれ、ガロポロがまたひとつ勝ち上がった。

最終スコア:SF 13-10 GB

Los Angeles Rams (12-5; NFC #4(West)) @ Tampa Bay Buccaneers (13-4; NFC #2(South))

バッカニアーズはイーグルズに圧勝し、ラムズカーディナルズを寄せつけず、おたがいワイルドカードの相手を下してのディヴィジョナル・ラウンドとなった。バッカニアーズは 2003-2004 のペイトリオッツ以来となるスーパーボウル連覇を目指しており、ラムズは三年ぶりのスーパーボウル出場と 23 年ぶりのスーパーボウル勝利を狙う。特にラムズはスタどん、ヴォン・ミラー、オデル・ベッカム・Jr. とスター選手をかき集めまくっていて、ここを逃せばしばらくチャンスはないかもしれんという体勢で臨んできた。
そのラムズが前半は圧倒する。最初のドライブでフィールドゴールをあげると、その次のドライブから二本つづけてタッチダウン。その二本目では自陣 30 ヤード地点の 3rd&20 からスタどんがクーパーーーー・カップへ 70 ヤードのタッチダウンを通して、わずか3プレイでタッチダウンまでたどり着いた。その間にバッカニアーズは FG を一本決めただけで 17-3。前半そのあともバッカニアーズフィールドゴール失敗、インターセプトと散々で結局3点どまり。ラムズはさらに FG を一本追加し、インターセプトで得た敵陣 31 ヤード地点からの攻撃はファンブルロストで手ぶらで帰る羽目になったが、20-3 と大量リードで折り返した。

後半もラムズが先手を引く。PR パウエルの 33 ヤードのビッグリターンで敵陣 28 ヤード地点から得た攻撃を今度こそタッチダウンにつなげ、27-3。ぎりぎり3ポゼッションだが限りなく4ポゼッションに近い、普通に考えればバッカニアーズの敗色濃厚というスコアになった。しかしここからがすごい。まず FG を返す。62 ヤード進んで 13 ヤード地点まで行った攻撃だったが、4th&11 をギャンブルせずじっと我慢の子でキック。これで 27-6。直後のスナップでボールを受けたクーパーーーー・カッップがファンブルし、これを奪ったバッカニアーズは敵陣 30 ヤードからの絶好の得点機。今度は 4th&9 をギャンブルし、ブレイディがそれを更新する決めてドライブを続け、タッチダウン。27-13。ラムズは返しのドライブスリーアンドアウトでパント。バッカニアーズ、その返しでブレイディがサックされてファンブルロスト。またしても自陣 25 ヤードでの攻撃を渡してしまう。ところがラムズは最初のスナップがスタフォードの準備がまったく整わないうちに飛び出してきてはるか後方に点々と転がってしまい、バッカニアーズにリカバーされる。返しのドライブを成功させればいよいよ1ポゼッション差だ。だがバッカニアーズは決められず、ギャンブル失敗で攻守交替。ラムズはその返しのドライブで敵陣半ばまで入り、47 ヤードの FG を狙う。……が、これは K ゲイのキックが届かない。プロでもプレッシャーがかかると縮こまるんだねえ。続くバッカニアーズの攻撃はレッドゾーン手前まで進んだものの、4th&9 をまたしても更新できず攻守交替。なかなか2ポゼッションから詰められない。
返しのドライブ、ラムズは時間を消費しにかかり、ランプレイ二回とショートパスを一回コールし、合計3ヤードのゲインだったがバッカニアーズタイムアウトは全部使わせてパントを蹴った。残り 3:56 からバッカニアーズは攻撃を開始する。よほど急がなければタッチダウン二本は返せない。しかしここからはさすがブレイディとしかいいようがない攻撃を見せる。まずこのドライブ、スコッティ・ミラーへ 19 ヤードのサイドラインパスを通すと、エヴァンズへ 55 ヤードのロングパスが通ってわずか3プレイでタッチダウンとした。返しのドライブ、ラムズはわずかな負けへの道へ吸い込まれるようにミスをしてしまう。エイカーズのランプレイを二回続けてコールしたのだがその二回目でファンブルロスト。30 ヤード地点からの攻撃を与えてしまうのだ。次のドライブ、バッカニアーズは 4th&inches を迎えるが、ここでいつものブレイディのスニークではなくフォーネットの右サイドへのラン。これが見事にはまって9ヤード走りきり、PAT も決まってとうとうバッカニアーズが同点に追いついた。

残り 0:42。しかしスタフォードもだてにここまでのキャリアで 42 回のサヨナラドライブを重ねてきたわけではない(これはスタどんが NFL 入りした 2009 シーズン~今シーズンの期間では最多)。最後のタイムアウトをサックでいきなり吐き出してしまったが、次のダウンでサイドライン際のクーパーー・カッッップへ 20 ヤードのパスを通してアウトオヴバウンズで時計を止める。残り 0:28、バッカニアーズはオールアウト・ブリッツをコールし、スーとマーフィー-バンティングがスタフォードへ迫る。だがスタフォードはぎりぎりのところで中央奥のクーパー・カップのさらに先へ超ロングパスを投じた。これが見事に通り、タッチダウンとは行かないまでも 12 ヤード地点まで進んでダウン。あとはみんなで急いで走って行ってスパイクして、K ゲイが 30 ヤードを決めて、それでおしまいだった。
圧勝だったはずの試合を大接戦にしながらも、ラムズが見事に勝利を収めた。スーパーボウルが至上の目標ではあろうけれど、これだけ選手集めたからにはやっぱりチャンピオンシップぐらいが最低限のノルマかなという感じはするので、ひとまずそこに行けてよかったねと。最後スタフォードがエリートクウォーターバックぶりを見せたのは長年の不遇が報われるようでそれもよかった。バッカニアーズは完全に負けの状況から同点にしたが、最後のブリッツは見事に裏目に出て負けを引いてしまった。あれがはまってサックしていれば勝てたのならともかくサックしてやっとオーヴァータイムに突入するだけなので、ちょっとリターンに対してリスクの大きすぎる賭けであったと思う。
ブレイディはこの歳になって長年王朝を築いたペイトリオッツを半ば追い出され、それでも現役にこだわって昨季見事にスーパーボウルを制したが、さすがに連覇はならなかった。それでもこの試合の最後二回のドライブなど見ていると少なくともまだ一年はやれそうに思う。一応契約は一年残っているがサラリーキャップを空ける意味合いが強いとのことで、それに拘束されてもう一年ということは球団側もブレイディも思っていなさそう、とのこと。どういう選択を下すか注目したい。
→結局引退となった模様。で、そう言われてみて思えば、たぶんバッカニアーズと二年契約をしたのも一年で勝てると思っていなかったからだろうなと。ペイトリオッツ以外のチーム、ベリチック以外の HC のもとでスーパーボウルを勝つというのが最後に残された目標で、それはもう昨年果たしてしまったということなのだろう。おそらくバッカニアーズで来年続けても戦力ダウンは避けられないし、かといってほかのチームへ移ってあと二年三年というのはさすがに想像できないというところだったのかな。

最終スコア:LAR 30-27 TB

Buffalo Bills (11-6; AFC #3(East)) @ Kansas City Chiefs (12-5; AFC #2(West))

昨年の AFC チャンピオンシップと同じカード。ジョシュ・アレン対パトリック・マホームズAFC の若手 QB 対決になった。この両チームは昨季と今季で2回ずつ対戦していて、素晴らしいライバリーになっている。カンファレンスが同じでもディヴィジョンが違えば定期対戦は三年に一度だが、昨年度のカンファレンス内順位が同じだと対戦することになる。そして昨年も今年もプレイオフでぶつかったということだ。
ビルズはいきなりタッチダウンで先制したが、すぐにチーフスもタッチダウンで応じた。その後パントが三本はさまり、今度はチーフスが先にタッチダウンを奪う。しかし返しのドライブでビルズもタッチダウン。前半最後は珍しくバトカーが FG を外して、14-14 の同点、内容的にもほぼ互角で折り返した。

(更新するか不明)

最終スコア:BUF 36-[OT]-42 KC