黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

『のだめカンタービレ』 フジテレビ,2006

面白い。ドラマ不毛の地であるところの我が家で珍しく毎週観られている。原作に忠実な上にテンポがいいのがよい。それは充分に分量がある原作を惜しまず使うことで実現されている。とはいえそこは必要条件でしかなく、ある物語を違うメディアに移し替える際には必ず困難が伴う筈で、それを結構高い水準でクリアしているのは大したものだと思う。
この漫画についての困難は少なくともひとつは「音」だった筈で、「音が出るからこそ辛い」という部分は(逆説的だけど)絶対にあっただろう。それは「音楽」がテーマの物語であるからには避けては通れない部分でもある。まあ心得がある人から見れば変なシーンも可笑しいシーンもあるのだろうが、フィクションがつく嘘として要求される水準はクリアしてるんじゃないかと個人的には感じる。
役者も結構みんな達者で比較的安心して観ていられる、というのも嬉しい。玉木宏も最初違和感あったけどすぐ慣れてよく思えるし、上野樹里も結構難しい役を莫迦っぽくなり過ぎずに上手くこなしている。竹中直人の怪演と仕事選ばなさぶりには感服するばかりだ。
しかし矢柴さんが映るとそれだけでちょっと面白いぜ。あんなところからここまでのし上がったのは、つくづく只者でないよねえ。