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今年の総決算(前編):概況、前哨戦

終わりよければすべてよし、という言葉があるように、暮れにでかいレースをぶち当ててから年越しを迎えると中々気分がいい。たとえその年の通算で大きくへこんでいても、なんとなく来年はやれそうな気がしてくるから不思議なものだ。そうでなくてもこの年末年始はまる2週間中央競馬の開催はないわけで、中央しか馬券を買わない人なら当てて終われば次に負けるまで結構長く楽しめるという算段はできる。たまには真面目に予想をして、いい新年を迎えよう。ということで、中山大障害の展望を。(べたべたな前振り……。)
今年の中山大障害は有力馬の回避、故障のため混戦模様と言われている。
この夏最大の上がり馬コウエイトライが早々と回避を決め込むと、昨年の覇者テイエムドラゴンと今年の最強馬スプリングゲントが相次いで故障で戦列を離れた。今年これまでに行われた障害重賞9鞍のうちその3頭で実に7勝を挙げているのだから、なるほど駒落ちの印象は否めない。しかしそもそも無事にゲートに入り続けることが競走馬にとって最初の関門であり、障害馬なら尚更となる。最大の目標であるこのレースに出走できた馬たちには、まずはそれだけで敬意を表するべきだろう。その上で、「かえって面白いメンバーになったじゃないか」などと嘯きながら馬券を買うのが障害ファンの正しい態度ってもんだろうと思う。実際、残っている面子を考えれば、悪くない顔ぶれが揃ったと言っていい。
今年の出走馬は、三週間前に中山競馬場で行われたイルミネーションジャンプステークス(以下「IJS」とする)を使われた馬が約半数を占めている。勝ち馬クールジョイを筆頭に、3〜6着の上位馬がごっそり回ってきた。同じ競馬場で行われること、本番までの間隔が丁度いいこと、そして負担重量が実績馬にも厳しくならないこと、などからこのレースを目指す馬のステップレースとしては不動の位置を占めている。
今年の IJS だが、意識しておきたいのはかなりスローだったことだ。障害競走は平地ほど極端なペースにはなりにくいが、展開の有利不利はもちろんある。スローだったから時計が平凡なのはあまり気にしなくてよく、前に行った馬が基本的には有利だった。もうひとつ留意しておきたいのは、中山大障害というレースはスローペースになりやすいこと。今年は IJS の結果が大障害に結び付きやすい、かも知れない。
IJS 以外はばらばらのレースから回ってきているが、秋陽ジャンプステークスの1、2着馬が揃って出走してきているのはいい物差しになりそうだ。1着メルシーエイタイムは昨年の中山大障害2着馬で、0.8 秒離された2着のアグネスハットはその後 11 月 18 日のオープンでやはり2着に入っている。
アグネスハット東京競馬場だと時計のように正確なタイムで走り、ここ4走の1ハロン平均タイムが全て 13.31〜13.33 秒に収まるという、まことに不思議な記録を持っている(芝のレースとダートのレースが混じっているのもおかしなところ)。ともあれ毎度自分の力だけは走る質だから、11 月 18 日のオープンでこの馬に先着された馬は、机上の計算ではメルシーエイタイム相手だと分が悪い。
11 月 18 日のオープンと IJS には、ワンモアディネロとキャピタルゲインが出走している。前者は7着→3着、後者は4着→8着で、勝ち馬との着差はいずれも IJS の方が小さいが、IJS がスローだったことを考えるとこの比較は難しい。単純にレースのレベルだけ考慮すれば大きくは違わないと考えてもいいかも知れない。ただ、コースの形態は全く異なるので、中山大障害との結びつきで言えばやはり IJS の方が強いだろう。
ざっとまとめると、 IJS の上位陣と秋陽 JS の1、2着馬がここまでの後先では上位に位置づけられることになろうか。
前走未勝利を勝ったばかりの馬、2ヶ月以上の休み明けの馬、前走平地を使われた馬が3着以内に入ったことはここ5年ない、というのは憶えておくといい。かも知れない。今年は3頭が該当する。
また、10 番人気の馬の成績が妙によく、ここ5年間で3連対している。これは完全にオカルトだけど、どうしようもない時はオッズの人気順を数えてみるのもいいだろう。
明日は個々の馬を取り上げる。