黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

ドラゴンズの選手が揃って WBC を辞退したということが話題になっている。根本的な問題はひとつで、WBC がそこまでの大会じゃないということだ。例えばサッカーのワールドカップだったらどうだろうか、と考えるに、そりゃ選手だってみんな出たいし、怪我したってしょうがないと思うだろうし(まあ怪我しちゃ駄目*1なんだけど)、チームだって「おお我がチームからワールドカップに選手が!」となるわけです。でも WBC はそうじゃない。
だから落合監督の言ってることは正論で、選手個人の価値観を否定することはできないし、怪我する可能性ももちろんあるし、調整が足りなくてペナントレースで活躍できなければ年俸が下がるのは選手本人だ。
落合監督は「補償があるわけじゃなし」と言っていたのだけど、そういったことを、たとえば日本プロ野球機構からの補償という形で埋めることは多分できないと思う。査定のしようがないことだし、そんなお金もないだろうし、やり始めたらきりがない。
この問題を解決するためには WBC の価値を高めていく以外にないと思う。結局どうしたってシーズンへの影響や故障の可能性などの問題は残るのだけど、WBC の価値が上がると妥協のポイントが見えやすくなってくる。つまり選手が負ったリスクについて球団がケツを持つ(最終的にはそうならざるを得ないと思う)ことが NPB 全体として正当化されやすくなる、とでもいうか。
WBC にそこまでしてやる義理があるのか? というところだけど、他に同様の大会がないのも事実で、第一回を立ち上げる時点で代案を示せなかったわけだから、これは協力していくしかないだろう。オリンピックでも正式競技から外されてしまったことだし、とりあえず国際大会のひとつも盛り上げていかないとどうにもなるまい。
ただ、ここからが逆説的なんだけど、WBC の価値を高めるためには、参加している各国が全力で協力しなければならない。少なくとも協力してるふりはしなくちゃいけない。可能な限りいいメンバーを揃えて、いい試合をして、ガチンコ世界一を決めようとしてますよ、と言い張るのに説得力があるぐらいには。つまり、価値が高まってないから協力できない、というのに、価値を高めるために協力しなければならない、というジレンマがある。
それを乗り越えるための動きや発言が野球界から見られるといいな、と漠然と思っているのだけど、中々難しいのかな。

*1:怪我しちゃ駄目:正確には召集する側が「怪我させちゃ駄目」となる。アクシデントによる負傷はやむを得ないとしても、野球においてはアクシデントより疲労の蓄積による故障が多いと思われ、それは起用方法やコンディショニングである程度はなんとかなることであろう。無論それでも勝負と選手の無事を天秤にかける場合、割り切れない部分は常に残る。