黄昏通信社跡地処分推進室

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グレッグ・イーガン『TAP』読了。借りておいて言うのもなんだが、流石に落穂拾い的というか、初期の作品も多いし出来としてはこれまでの短編集にはいささか劣る。でも読んだ後の満足感は結構ある。「なんとか分」という言葉は汎用性が高過ぎて手垢がつきまくった今となってはかなりアレではある、というのを承知で「イーガン分」とでも書きたくなる何かがあるとすればそれが豊富。短編集はそういうところがいい。「銀炎」と「TAP」がよかった。

イーガン読んだ後だと自分もイーガン分的なものを撒き散らしたくなる。先日 NHK でやってた「女と男」という番組でオーストラリアのどっかの大学の教授が「Y染色体が来週消滅しても驚かないわ」とか言ってる映像が出てるのを見た時には

こんな映像には何の意味もない。その気になればこの100万倍も荒唐無稽に聞こえるたわごと(「近い将来性染色体は6本になる見込みだ」)をのたまう、この教授と同じ程度にはもっともらしい肩書きを持つ人物の映像を100人分準備することだってできるだろう。しかし、だからといってこの意見が誤っているということにはならない。ぼくにはこの意見が客観的に見てどれぐらい主流に近いのか(あるいは遠いのか)を判断する知識の持ち合わせがない。

とかなんとか脳内山岸真に書かせていた。まあこれぐらいレベルが低いと縮小再生産に他ならないが、似たようなことしちゃう奴は多いんじゃないだろうか。

そういえば少年メリケンサックの「好きです!パンク!嘘です!」も凄く汎用性高いな。だいたい汎用性が高過ぎると消費速度が速過ぎてあっという間に腐る。腐りかけをよしとするおれの価値基準だと使いどころが一瞬しか無い。まあここに書いてしまったからにはもう使ってしまうというのもひとつの手かも知れない。
「好きです!アニゲー!嘘です!」
「好きです!ビジュアル!嘘です!」
だめだ汎用性が高いだけで別に面白くない。