黄昏通信社跡地処分推進室

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2018 年総まとめ

まさかの 2018 年に触れた分総まとめ。今年何年だよ! いまさら誰が見るのかわからないがそれ言ったらもともとそうだしな。

『シルトの梯子』 グレッグ・イーガン著/山岸真訳 早川書房:ハヤカワ文庫 SF,2017

ISBN:9784150121600
ディアスポラ』と『白熱光』の間の時期に書かれた話で、内容としてもそんな感じ。「シルトの梯子」という数学的概念をイーガンがまさかこんなにエモく振り回してくるとは思わなかった。

『完全無欠の賭け』 アダム・クチャルスキー著/柴田裕之訳 草思社,2017-11

ISBN:9784794223067
賭けの話。オンラインベッティングで、状況次第では絶対負けない賭けができる話とか、なるほどという感じで面白い。

『超動く家にて 宮内悠介短編集』 宮内悠介著 東京創元社:創元日本SF叢書,2018-02

ISBN:9784488018269
冒頭の「トランジスタ技術の圧縮」がとにかくめちゃんこ面白い。他にもバカ話が山ほど入っててすごくいいです。

『事件』 大岡昇平著 東京創元社:創元推理文庫,2017-11

ISBN:9784488481117
たった一件の殺人事件を様々な角度から照らす異色作。ミステリではない法廷もの、とでも言えばいいかな。地味だけど読み応え抜群。

『フォークの歯はなぜ四本になったか 実用品の進化論』 ヘンリー・ペトロスキー著/忠平美幸訳 平凡社:平凡社ライブラリー,2010-01

ISBN:9784582766936
これは面白かった。実用品のデザインの進化。自転車、ファスナー、フォーク、ふせん、などなど。

『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』 キャスリーン・フリン著/村井理子訳 きこ書房,2017-02

ISBN:9784877713645
タイトルは微妙だけどいい本。これ読むと料理しようっていう気になれるんだよね。「別に毎日やらなくてもいい、得意な料理ひとつを時々やるだけでも全然いいんだ」

『ポリフォニック・イリュージョン 初期作品+批評集成』 飛浩隆著 河出書房新社,2018-05

ISBN:9784309026695
初期短編にしろ批評にしろ切れ味がすげー。ブログから抜き出してきた一文ですら素晴らしい。この人はもう。

『蜜蜂』 マヤ・ルンデ著/池田真紀子訳 NHK出版,2018-06

ISBN:9784140056967
これ今思い出してもよかったのでおすすめしときます。近未来、蜜蜂がいなくなってしまった社会。子供たちは受粉労働者として働かされる――2098年と、2007年と、1852年を結ぶ糸とは。

『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』 J・D・サリンジャー著/金原瑞人訳  新潮社:新潮モダン・クラシックス,2018-06

ISBN:9784105910068
コールフィールド・サガを集めた短編集になぜか「ハプワース」を抱き合わせた本。おれハプワースはどうしても評価できんわ。お好きな人向け。

『宇宙背景放射──「ビッグバン以前」の痕跡を探る』 羽澄昌史著 集英社:集英社新書,2015-10

ISBN:9784087208078
当時の感想見たらこりゃー面白かったみたいに書いてあるけどもうあんまり憶えてない。流石に興味ある人向けかなあ。

『文字渦』 円城塔著 新潮社,2018-07

ISBN:9784103311621
これはめちゃくちゃ面白い。漢字というものを好きな人にはたまらないと思う。まじおすすめ。

『うなぎばか』 倉田タカシ著 早川書房,2018-07

ISBN:9784152097811
けっこうよかった。うなぎを題材にしたオムニバス。謎の叙情性みたいなのがある。

『千の扉』 柴崎友香著 中央公論新社,2017-10

ISBN:9784120050114
これはどういうわけか心に響くものがあったな。

『料理の四面体』 玉村豊男著 中央公論新社:中公文庫,2010-02

ISBN:9784122052833
冒頭のナイジェリアのシチューの話が圧巻。あとはそこまででもない。日常的に自分で工夫して料理する人なら面白いと思う。おれはそうではないので……。

『ゲームの王国』 小川哲著 早川書房,2017-08

ISBN:9784152096791
ISBN:9784152097019
これはめちゃくちゃ面白い。四の五の言わずに読め。

『台風についてわかっていることいないこと』  筆保弘徳,山田広幸,宮本佳明,伊藤耕介,山口宗彦,金田幸恵著 ベレ出版,2018-08

ISBN:9784860645557
台風の性質が「生まれつき」である程度予想できるみたいな話がめっちゃ面白い。気象に興味ある人なら楽しめると思う。

『君の話』 三秋縋著 早川書房,2018-07

ISBN:9784152097828
ヤングアダルト SF。このブログを読んでいる若者はいないと思うが、もしいたら是非。中年でもそれなりには楽しめるはず。

『自動人形の城:人工知能の意図理解をめぐる物語』 川添愛著 東京大学出版会,2017-12

ISBN:9784130633680
まあまあタイトル通り。意図を理解するということは本当に難しいんだよね。

『未来職安』 柞刈湯葉著 双葉社,2018-07

ISBN:9784575241068
冒頭の主人公の置かれた立場が秀逸。

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 伊藤亜紗著 光文社:光文社新書,2015-04

ISBN:9784334038540
著者のウェブページ、今でも着々と事例が積み上げられてて、それはなかなかすごい。