黄昏通信社跡地処分推進室

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『ブルーノ・ムナーリ――役に立たない機械を作った男』 於世田谷美術館

さて、結婚記念日ということで、あらためて休暇をとってデート。ちなみに日付にはあんまりこだわりませんでこの辺の日で適当に休むというシステムになっております。今回は世田谷美術館へ、電車とバスを乗り継いで。意外とバスが少ないのだけど、タイミングを合わせれば問題なし。
ムナーリはイタリアの未来派が出自のアーティスト/デザイナー。広告も手がけてたり絵本も書いてたり、まあいろいろやってたみたい。逆に同時代にはアーティストとみなされることは少なかったかもしれない、が、これは全く個人的な印象。
で、「役に立たない機械を作った男」というとそういう機械ばっかり作ってた人みたいな感じがするがまあそうではなく、一時期作っていた作品群のタイトルが『役に立たない機械』だったんだよね。というわけでサブタイトルはキャッチーではあるけど少しミスリーディングかもしれない。


この人は芸術というものに「個人的なタッチ」は必要ないんだと一貫して考えていたのだと思う。形と色彩、そしてそこに込める意図、そういうものが全てなんだと思っていたふしがある。だから油絵とか水彩とかは初期以外ほとんどやってない。絵本すら、まず登場する木々のためのはんこをいっぱい作って、木々は全部はんこをぺたぺた押して描いてたりとか、別の絵本では背景は可能な限りコピー機で印刷してたりとか、そういう作り方をしていたらしい(コピー機には世に出てくるなりすごく興味を示して、作品や習作をいっぱい作ったそうだ)。個人的にはそのあり方はすごく好ましいと感じたけれど、ちょっとパラノイアっぽくもあるよなとは感じた。


日本ともちょっとだけ縁があったみたいで、こどもの城がオープンしたときに、オープニングの企画で来日してワークショップをやっている。もうその時にはけっこうな歳だったはずだけど、楽しそうに子供たちを導く姿の写真が何枚か展示されていた。その様子はすごくよかった。そのワークショップで使われた教材が今回の展示の最後の方で実際にさわれるように展示されていた。大雑把に言えば既存のパーツを組み合わせることで絵や立体や文字を作るというもので、遊んでみたのだけどなかなかこれはというものを作るのは難しかった。まあそれはそうか。教材自体はどうもこどもの城オープニングの時以来日本各地を巡業しながらワークショップで使われていたものらしく、かなり年季が入っていたのが印象的だった。家を建てるカードなんて厚紙の端が膨らんでしまって溝にはめて立てることができないほどだった。


ということでなかなか楽しい展示だった。この日記には珍しくまだやってるので、興味のある方はぜひ。多分そんなにしょっちゅう作品展が開かれるようなアーティストではないっぽい。
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00191


で、折角なので美術館のレストランでお昼ごはんも食べる。企画展とのコラボメニューがあったのでそれを頼んでみたが、なかなか楽しいしおいしかった。
いいデートでした。