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「大岡昇平の世界展」於神奈川県近代文学館

有休である(めちゃくちゃ取ってるな)。妻のお誘いで行ってきた。ちなみに大岡昇平で読んだことあるのは『事件』と『野火』と「俘虜記」だけ。思ったより遠くて、一時間もありゃ着くでしょとか思ってたけど一時間半の方が近かった。甘く見てたわ。元町・中華街駅の6番出口というところから、さらにエレベーターで山の上まで上がって公園の中に出るんだけど、公園を出てすぐのところに豪邸が建ってて盛り上がる。そこから六、七分ぐらい歩くと着くのかな。平日ということもあってか人気がなくてやってるのかな?という感じだったけど、普通にやってた(それはそう)。ただ、中は閑散としていたと言っていいぐらいの空き具合だった。

展示は普通に面白かった。オーソドックスに、生涯をたどっていく形で、関連する資料と作品が紹介されて行く。若い頃の交友関係や就職してからもスタンダールを訳していたという話を読むに、いつかはものを書き始める運命にあった人だとは思うのだけど、その最初が「俘虜記」であったというのはすさまじい。『花影』の話とかもちろん知らなくて、うーむ昭和文壇っぽいエピソードと思いつつ、『富士日記』に書かれている大岡先生の奥様というのはこの自殺未遂した人だったんだよなあと思うと人生いろいろだなとも思わずにはいられない。こだわりは強い人だったようである一方、比較的短期間にわあっと集中してある課題に取り組み、それが済むと次の方面へ進む、というようにいろいろな仕事をしていたように見受けられる。『事件』が連載から単行本になるまで十七年かかったというのもこだわりが強く発揮された部分だったのだろう。

公式サイト→「大岡昇平の世界展」於神奈川県近代文学館

さて、終わって 13 時ぐらいだったのでぶらぶらと中華街まで歩いて行って、適当にのぞいた店で点心セットを頼む。古くて小さなお店だったが腕はなかなかで、どの料理も火と油の使い方をよくわかっているという感じの味だったのでよかった。杏仁豆腐だけは微妙だったけど。というところで帰還。よい有休だった。