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トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション

月曜日有休シリーズ最終回。美術館でも行こうかということになったんだけど月曜日なので選択肢が限られる。ということで選んだのがこれ。
トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション
これが終わると約三年の閉館期間に入るという横浜美術館に行くことにした。先日横浜行った時には表参道まで出たのだが、今回は素直に渋谷で乗り換えてみる。井の頭線から東横線、普通に 10 分ぐらいかかる。しかも一回外出るのが最速という。
「20 世紀西洋美術」というあまりにも広い範囲を扱う展覧会なんだけど、三館が共通して持っている作家の作品を優先して展示する、という方針で「軸」を作り、あとはその軸に枝葉をつけていって 20 世紀西洋美術の流れをざっくり俯瞰しちゃおうという相当に野心的な展示であった。すべて三館の作品だけで構成されているのもすごいところで、三館とも 80 年代後半ごろの公立美術館ブームに乗って建てられた、と冒頭のイントロダクションではやや自虐的に書かれているが、地道に作品を収集してこれだけの作品展が開けるようになっているというのはすごいことよなと思う。それと、後半の比較的最近の作家については現在進行形で現代美術として買った作品もあるそうで、それが今は確固たる評価がされた 20 世紀の作品として位置づけられている、というようなことがわりとさらっと書かれていたのだけど、このあたりは公立美術館の矜持というものでもあろうか。

解説アプリ(と書かれていたが実際には「サイト」に近いと思う、ソフトウェアをダウンロードはしないので)も面白くて、「子供向け説明」と「大人向け説明」が併記されていて、それがおれたちのような素人にはどっちも役に立って面白い。いまさらながら、なるほどこういう風に見るといいのね、という見当みたいなものがわかる。漠然と見るだけじゃなくて、どうせならシンプルでいいので問いを立てるとよい。まあ自分でやってることもあるけど、意識しないとぼうっと見てしまうものだ。

知らなかった作家で興味深かったのはクルト・シュヴィッタースとアレクサンダー・カルダー。前者は小さなコラージュがふたつ出ているだけだったのだけど、どこかそのコラージュの感じがコーネルに通じるところがある気がした。後者は「モビール」を発明した人らしい。え、モビールって、発明した人がはっきりしてるもんだったんだ。それもアートの文脈から出たものだということも全然知らなかった。この人のブロンズ像「片膝ついて」も目一杯危うい構造をしていて、やっちゃだめだけどちょっと触るとゆーっくりと揺れる、らしい。それはちょっと見てみたい。
既知の作家では上でもちょっと言及したコーネルが三点出ていたのが嬉しかった。コーネルの箱は本当に魔法めいていると思う。あとはデルヴォーがやっぱり三点出てたんだけど、どれもパースがわりとちゃんとしていてあれ?と思った(←失礼)。

まあそんな感じで、いろいろ見られて、流れも概観できて、とてもよかった。横浜美術館自体もひさびさに行ったけどいい建物だったな。次行くのは改修後になっちゃうと思うけど、また機会があれば。