黄昏通信社跡地処分推進室

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おおきく振りかぶって

連載19年にしてようやく主人公たちが二年生に進級。最初はみんなガラケーだったのがスマホに変わっちゃったり、ストライクとボールのカウントが逆になったり、フライボール革命が出てきたり、連載が長すぎることの影響は流石に作中に入りこんじゃってるんだけど、まあそこら辺はもう最新風俗や情報に合わせることにしたみたいで、細けえことは気にすんなという感じになっている。たぶん連載漫画としてはそれが正しいと思うんだよな。読んでるほうもむしろそのほうが気にならない。同じような状況になりながら逆の方針で突き進んでいる作品(作中の時間にかたくなに描写も風物も合わせる)としておれが知ってる例では有栖川有栖の学生アリスシリーズがあるんだけど、あれなんかは『女王国の城』の時点――十五年ぐらい前――でもうだいぶ厳しいなという感じになっていた。物事はその時点に合わせられても、登場人物の思考とか口調とかって、やっぱりどんなに頑張っても書いてる時点のものが入りこんでしまう。そしてその齟齬はけっこう気になるのだ。第五作が書かれたらそこら辺どうなるかはむしろ楽しみですらあるけれど。ついでに言えば、曲がりなりにも連続的に変化する連載よりもああいう風に断続的に続いてるシリーズもの(で作中の年月が決まってしまっているもの)の方がこういう変化への対応はつらいだろうとは思う。あとさらに余談だが、学生アリスシリーズって短編集が出てたんだな。それも単行本は2012年に刊行されていた。まじかよ。十年前だよ。
閑話休題、一年生もごっそり入ってきて二年生と一年生それぞれの成長がまた楽しめそうではあるのだが、そしてそれは面白いだろうなという予感は確実にあるのだが、このペースだとほんとうに作者のライフワークになっちゃうよな。それに付き合う分にはこっちはいいのだけど、もっといろいろな漫画を描いてほしいという思いもなくはないんだよね。まあでももうやんないのかなー。