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「『フッカー』から『プロップ』へ分岐する」スポーツ

なんか TVK大学ラグビーやってて2試合続けて観たのだが、久々だった所為かこれがすげえ面白かった。1試合目はリーグ戦の大東文化大対関東学院大で、大東大が後半も半ばを過ぎてから一時はリードを奪う展開でテンション上がる。CTB がゴロパントで相手バックスの間を抜いて、自らそのボールを押さえてトライ、というシーンだったんだけどこの個人技には単純にしびれた。最終的には関東学院がトライ2本奪って逆転勝ち。
2試合目は対抗戦の早稲田大対帝京大。早稲田が前半先に点を取りながら攻めあぐね、帝京は3点返してなおも追撃。特に前半終了間際、ターンオーバーからランだけで70メートル以上ゲインしたシーンは熱かった。ほんとうにあと数十センチでトライだったのだけど、プレイが切れたところで前半終了。ここで逆転していればあるいは早稲田にも焦りが生じていたかも知れなかっただけに、非常に惜しかった。後半は早稲田が地力を見せて結果的には快勝。点差以上に面白いゲームではあった。
観てて思ったのは、ラグビーって比較的テレビ向きのスポーツだよなあ、ということ。
サッカーは本質的には「空間の争奪戦である」って誰かが言ってて、それがほんとかどうかおれにはわからないんだけど直観的には言わんとすることはわかる。フィールド全体を11人では決して支配し切れないゆえに、選手は支配する領域を絶え間なく動かす。相手の支配から逃れつつ自分たちが支配している領域を連続的に作って行き、その中でボールを動かして行って、最後には常に相手が支配している狭い空間――ゴールにねじ込むのがこのゲームの目的だ。だから、ボールを追って行く映像では、そのボールを選手がさばくというフィジカルな部分は充分に伝わるけれど、サッカーの本質?である領域争いというタクティカルな部分は伝えきれないところはあるのかなあと。
一方ラグビーの本質は陣地争いで、陣地の境界線ってのはボールを通るゴールラインに平行な直線だ。で、厳しいオフサイド・ルールがあるために、その陣地を前進させるには基本的にボールを持って走るしかない。もちろんフィールドをワイドに使う場面もたくさんあるのだけど、それでも本質的にはボールを泥臭く地べたで運んで行くことに変わりはない。だから局面においてプレイヤーの大半はボールの近くに居て、フィールドの大半は空き地である。テレビカメラがボールを追って行けば、それは即ち陣地の前進/後退を捉え続けることになる。そんなわけで、少なくともサッカーよりはテレビ向きじゃないかと思うのだが。
ラグビーがとっつきづらいのはその本質的な単純さに比して頻出する反則の種類が多いからだろう。手も足も使えてコンタクトプレーもあり、というゲームをスポーツとして成立させるにはどうしても反則の体系は複雑にならざるを得ない。本来単純なゲームが伝わりづらくなってしまっているのは惜しいけどこれは仕方がない。逆にそこら辺の敷居さえ超えてしまえればテレビでもかなり楽しめるスポーツなんで、これからの季節おすすめですよ。って誰宛てだ。