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WBC1次ラウンド:チェコ対韓国

「子供を笑顔にするプロジェクト」というのを東京都教育委員会がやっていて、コロナ禍でいろいろ制限されている小中学生にいろんな体験をプレゼントしましょう的な企画なのだけど、実施形態としてはどうも個々のプログラムに学校単位で手を上げて採用されたら行ける、というような感じらしい。つまり補助金がつくのだろう。ということで、娘の学校では色々なプログラムに手を上げていたらしいのだが、その中でWBCを生観戦できるというプログラムに当選したとのことで、子供たちと保護者に参加の募集があった。娘は行きたいというので、じゃあおれが連れて行くよということになり、この日ふたりで行ってきた次第。学校からバスが出るので交通費は無料、もちろんチケットもただで、現地の飲食は自分で払ってねというスタイルだった。そのカードがチェコ対韓国という激渋な試合だったというわけ。ただ、02-22にも書いた通り調べてみるとチェコ代表は実に面白いチームで肩入れするには絶好で、前日の日本戦でも最後は離されたとはいえ大いに健闘し、初戦では中国を下しているので万一韓国に勝ったら決勝トーナメントに手が届くかもしれないというポジションで、その意味でも素晴らしいカードになった。
バスは車酔いが心配されたが、首都高速を通る比較的眺めのいいルートで、窓から見えるものを見ながらあれが面白いそれはなんだろうなどと言っていたらあっという間に着いた。ある程度は気の持ちようでなんとかなるところはあって、窓の外のものに面白みを見出すことができれば大丈夫なんだと思うんだが、酔ったという体験が過去にあると意識が内に向いてしまって酔いやすくなる、というのはあるんだろうとも思う。ともあれ球場へ。チケットは完売の表示が出ていた。え、チェコ戦満員?と思ったがそんなことはもちろんなく、あとからの情報も総合するに、おれらの参加しているような団体観戦は別としてこの日のチケットは基本的には二戦目の日本-オーストラリア戦しか売っておらず、そのチケットを持っていれば一試合目も自由席で見られるよ、というシステムらしかった。入ってみると二階席も外野席も閉じていて、内野ももちろん満員にはほど遠く、まあさすがにこんなもんだよねというところ。試合前になにか食べものを買おうと通路をうろうろしてみたが、通常の売店は開いていたもののグルメストリートといういろんなお店が入っているフロアはまだほとんどの店が閉まっていて、こちらも二戦目が本番なのだろうという印象だった。
試合はチェコ三者凡退のスタートだったのに対し、韓国は初回から猛攻。チェコ先発エルコリから長短合わせて五安打に四球ふたつも絡めて打者一巡で5点を先制すると、次の回にも先頭のキム・ハソンが本塁打で0-6。さらに一死一二塁とピンチが続いたが、ここで登場した二番手投手バルトがヤン・ウィジを三球で遊ゴロ併殺打に切ってピンチを脱すると、3回以降も内野ゴロの山を築き、6回までわずか1安打しか許さず無失点で味方の反撃を待つ。なかなかチャンスも作れなかったチェコだが、7回先頭のソガード、続くクラップがいい当たりのヒットを続けて無死一二塁。一死の後、5番M.メンジークがレフトへ鋭い当たり。突っ込んできたキム・ヒョンスがこれを取れず記録は二塁打、ふたりの走者が還って2-6とようやく得点を刻んだ。さらに暴投で二死三塁と攻め立てるが7番エスカラは空振り三振でチェンジ。そして7回裏、バルトがついにつかまり先頭のキム・ハソンにこの日二本目の本塁打を浴びてしまう。とはいえこれは責められまい。後続を三人で切って取り、65球の制限内で5回2/3を2安打1失点に抑えた投球は見事のひとことで、こちらが先発していればと思わずにはおれない好投だった。8回表もチェコは諦めず、スモラとV.メンシークの連打とクルップ死球で二死満塁を作り暴投で一点を返したが、4番セルヴェンカは空振り三振。結局終わってみれば3-7で韓国の快勝だった。とはいえ壊れかけた試合をバルトが救い、終盤はむしろ押せ押せの場面を二度作ってなかなかの善戦であった。ルールもろくにわからなかった娘も「どきどきしたー」などと言って大いに楽しんだようだった。
んでバスに乗って撤収。帰りはおれは寝てしまったのだが、娘はどうにか気分悪くもならず乗り切れたようでよかった。最後に手元に残っていたお菓子をふたりでばりぼり食べながら家に帰った。最初見た時は正直「微妙なカードだな」と思ったのは否めないのだが、実際行ってみたらめっちゃ楽しく、球場も空いていてかえってよかったかもしれない。なかなかよいプロジェクト、よいプログラムでした。東京都教育委員会様、ありがとうございました。