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ヒトの言葉 機械の言葉 「人工知能と話す」以前の言語学 (角川新書)作者:川添 愛KADOKAWAAmazon言語の理解に関する基礎的な解説書。人間と会話して意思疎通ができるような汎用人工知能を作るとして、その前提に「人間の言っていることを“理解”する」というタ…
氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)作者:尾脇 秀和筑摩書房Amazonちょっと話題になった本(という、個人的な印象)で、その通りけっこう面白かった。江戸時代までの人名がどのようなものであったのかの概説と、それがいかにして現在…
まさかの 2018 年に触れた分総まとめ。今年何年だよ! いまさら誰が見るのかわからないがそれ言ったらもともとそうだしな。 2018年上半期総集編(その1) 『シルトの梯子』 グレッグ・イーガン著/山岸真訳 早川書房:ハヤカワ文庫 SF,2017 ISBN:978415012…
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)作者:呉明益白水社Amazon舞台は1970年代の台北。西門町と台北駅の間、幹線道路と鉄道に挟まれた細長い土地に八棟の団地が縦に細長く連なって建っていた。そこは中華商場と呼ばれ、当時の台北の賑わいの中心だった。それぞ…
宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ作者:サラ・パーカック光文社Amazon言うまでもないが、考古学において遺跡発掘はきわめて重要なミッションだ。しかしやみくもに掘っていて狙い通りのものが出るものでもない。史料や地形やその他様々なこれま…
暗闇にレンズ作者:高山 羽根子東京創元社Amazon映像にまつわる物語。街中のあらゆるところにカメラが設置された近未来のパート「Side A」は高校生である主人公と友人である「彼女」を中心に進む。様々なところにさして怪しまれず潜り込めて、なんならカメラ…
脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ作者:ポール・ジョセフ・ガリーノ,コニー・シアーズ発売日: 2021/01/26メディア: 単行本主に映画を念頭に書かれた、とはいえ他の形態にも活かせるであろう、脚本術の本。古今東西の映画のシー…
2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:エレン クレイジャズ,ハンヌ ライアニエミ,ダリル グレゴリイ,劉 慈欣,コリイ ドクトロウ,チャールズ ストロス,N・K ジェミシン,グレッグ イーガン,アレステア レナルズ発売日: 2020/11/19メディア: 文庫なぜいま…
近代建築散歩 東京・横浜編作者:アトリエM5,宮本 和義発売日: 2007/11/26メディア: 単行本タイトルの通りの本。正直この手の本って佃煮にするほどあって、どれを読んでもそれなり以上には楽しいし、しかし読んだ後の印象はどの本でもそんなに変わらない印象…
科学捜査ケースファイル―難事件はいかにして解決されたか作者:ヴァル・マクダーミド発売日: 2017/07/24メディア: 単行本おおむねタイトルの通りの本だが、もう少しフォーカスは狭くて、英国犯罪科学捜査史というべき本。著者はミステリ作家で、取材の過程で…
日曜美術館のアートシーンで紹介されていて、面白そうだし楽しそうだったので子供たちを誘ってみたところ行くというので家族で出かける。練馬区立美術館は中村橋にあってなかなか遠いが、上手くFライナーを拾えてまあまあ快適に行けた。あと駅からはめちゃ…
中国・アメリカ 謎SF発売日: 2021/01/30メディア: 単行本(ソフトカバー)なんかざっくりしたくくりのアンソロジー。みんな大好き柴田元幸と、小島ケイタニーラブの名前でミュージシャンとしても活躍している小島敬太のふたりが、米国と中国からそれぞれ新進…
なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学作者:Jesse Bering発売日: 2017/03/02メディア: 単行本タイトル、もっともな疑問だ。変な形してるよね、ちんちん。あの、先端の少し下が太くなってるの、なんなんだろう。あと、そもそもなん…
人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル (ハヤカワ文庫JA)作者:竹田人造発売日: 2020/11/19メディア: 文庫第8回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。人工知能を含めた情報技術のハックをテーマにした連作中編で、コンテスト応募時の『電子の泥船に金貨を…
偶然の聖地作者:宮内 悠介発売日: 2019/04/25メディア: 単行本世界がコード*1で書かれているとしたら。大胆すぎる仮定なので起きることは無数に想像できるが、著者がフォーカスしたのは「当然不具合が起きるだろう」というところだ。そしてそれを直す者たち…
先日 youtube のガンダムチャンネルで期間限定公開していたので見た。おれはガンダムは初代以外よく知らんが、これは伝説的な作品と言っていいと思う。すごく知名度が高いわけじゃない*1が見た奴はみんな名作だと言う。時々こういう「特定の界隈で神棚に載せ…
「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行本)作者:裕人, 川端発売日: 2020/10/24メディア: 単行本(ソフトカバー)色の見え方については、『ひとの目、驚異の進化: 4つの凄い視覚能力があるわけ』(おれの感想)を読んで以来少し気にな…
図書館の新着図書の棚に入ってたので借りてみた。ここでのエビは英語で言えば shrimp と prawn にあたるもので、robster と crayfish は含まないとのことで、後者は別の本になってるのだそうだ(邦訳は『ロブスターの歴史』)。「『食』の図書館」シリーズと…
ディズニーCEOが実践する10の原則作者:ロバート・アイガー発売日: 2020/04/04メディア: 単行本このタイトルは明らかにミスリード。内容に即したタイトルをつけるとするなら「僕の出世録と、ディズニー CEO になってから成功させた買収の裏話あれこれ」になる…
ガーンジー島の読書会 (上)作者:メアリー・アン・シェイファー,アニー・バロウズ発売日: 2013/11/29メディア: 単行本(ソフトカバー)ガーンジー島の読書会 (下)作者:メアリー・アン・シェイファー,アニー・バロウズ発売日: 2013/11/29メディア: 単行本(ソ…
1984年に生まれて (単行本)作者:郝 景芳発売日: 2020/11/20メディア: 単行本「折りたたみ北京」(→おれの感想)「正月列車」(→おれの感想)の作者である郝景芳の長編。1984 年に生まれた主人公の女性軽雲が、両親の人生と自分の人生を並行して振り返るとい…
俘虜記・野火 (1985年) (日本の文学〈78〉)作者:大岡 昇平メディア: -自分が読んだ本がどのエディションかわからなくなってしまった。たぶんこれ↑。収録されている「俘虜記」はのちに「捉まるまで」と改題された、連作としての俘虜記の中では冒頭の部分にあ…
「第二の不可能」を追え! ――理論物理学者、ありえない物質を求めてカムチャツカへ作者:ポール・J・スタインハート発売日: 2020/09/03メディア: 単行本この日本語題どうなんでしょうねえ。著者は「不可能」には二種類の意味があるという。第一の不可能は理論…
帳簿の世界史 (文春文庫 S 22-1)作者:ジェイコブ・ソール発売日: 2018/04/10メディア: 文庫会計帳簿が人類史においてどのような役割を果たしてきたか、ということを時系列に沿って書いた野心的な本。これはなかなか面白かった。 複式簿記は人類の最大の発明…
もみのき そのみを かざりなさい作者:五味太郎発売日: 2020/11/15メディア: 単行本妻が買ってきたのだが、一読して参ってしまった。これはすごい。本当にシンプルな本で、各ページには一枚の絵と一行の文章があるだけ。その文も、たとえば「さく やすみなさ…
ホテル・アルカディア作者:石川 宗生発売日: 2020/03/26メディア: 単行本『半分世界』の著者の連作短編集。短編というよりはショートショートと言っていい長さのものも多いかな。冒頭にはホテル・アルカディアにまつわる逸話が付されていて、そこに集う芸術…
https://www.operacity.jp/ag/exh234/ 行ってきた。妻と行こうと言っていたのだが、今月に入ってからの有休をぜんぶ月曜にしてしまったおかげでどうしても都合が合わせられず、別々に観に行くことになった。この展覧会は先月まで東京都写真美術館でやってい…
https://pierrot.jp/archive/1990/tvs_03.html 日本ファンタジーノベル大賞の第一回はいまでは考えられないようなスキームになっていて、大賞受賞作はアニメ映画化されることが決まっていた*1。第一回の大賞が『後宮小説』に決まったときの関係者の困惑は想…
時間旅行者のキャンディボックス (創元SF文庫)作者:ケイト・マスカレナス発売日: 2020/09/10メディア: 文庫奇妙な SF。1960 年代にタイムマシンが発明されて実用化されているという平行世界で、ある密室で生じた不可能状況と見える殺人の謎解きを一応のスト…
ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論作者:デヴィッド・グレーバー発売日: 2020/07/30メディア: 単行本この本はタイトルの勝利。というと身も蓋もないけれど、タイトルというか、この概念を生み出したというところに価値がある。もともとは 2013 …