黄昏通信社跡地処分推進室

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最近の

『ベーシックインカム』 井上真偽著 集英社,2019-10

ベーシックインカム作者:井上 真偽発売日: 2019/10/04メディア: 単行本ミステリ畑で活躍する(らしい)作者の五冊目の作品。五編の短編が収録されている。少し未来の、見えてはいるがまだ実現していない技術、あるいは実現しているが普及までは至っていない…

『嘘と正典』 小川哲著 早川書房,2019-09

嘘と正典作者:小川 哲発売日: 2019/09/19メディア: 単行本『ゲームの王国』でいきなりすさまじいデビューを果たした小川哲の短編集。どんなものが飛び出してくるかと思ったがあそこまでの凄みはなく、しかしどれもなかなか面白かった。「魔術師」はマジシャ…

『なめらかな世界と、その敵』 伴名練著 早川書房,2019-08

今回あたりから 2020 年に読んだ本です。相変わらずめちゃくちゃ遅れてるゼ。なめらかな世界と、その敵作者:伴名 練発売日: 2019/08/20メディア: 単行本著者の十年ぶりの作品集。同人誌などに細々と書かれ、時に年間 SF 傑作集などに収録された作品を中心に…

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブレイディみかこ著 新潮社,2019-06

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー作者:ブレイディ みかこ発売日: 2019/06/21メディア: 単行本著者の書いたものはインターネットでしばしば目にしていた。最初はたぶん音楽関係の記事だった。おれ自身もう UK ロックもまったく聴いていないが、な…

『方形の円(偽説・都市生成論)』 ギョルゲ・ササルマン著/住谷春也訳 東京創元社:海外文学セレクション,2019-06

方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション)作者:ギョルゲ・ササルマン発売日: 2019/06/20メディア: 単行本架空の都市にまつわる連作短編。各短編はほとんどショートショートといってもよい短さで、一番短いものは一ページ強しかなかったりする。そ…

『うつくしい繭』 櫻木みわ著 講談社,2018-12

うつくしい繭作者:櫻木 みわ発売日: 2018/12/19メディア: 単行本これは面白かった。これを書いている時点で読んでから半年ぐらい経ってるのでもうあんまりよく憶えていないのだが、とりあえず。 四つの短編が収録された、作者のデビュー短編集。四編とも短編…

『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 ピーター・ゴドフリー=スミス著/夏目大訳 みすず書房,2018-11

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源作者:ピーター・ゴドフリー=スミス発売日: 2018/11/17メディア: 単行本タコの知性について、おれはあんまり考えたことがなかった。生きているタコも水族館でしか見たことはないし、その水族館のタコも自由闊達に…

『雪降る夏空にきみと眠る』(上・下)ジャスパー・フォード著/桐谷知未訳 竹書房:竹書房文庫,2019-06

雪降る夏空にきみと眠る 上 (竹書房文庫)作者:ジャスパー・フォード出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/06/27メディア: 文庫雪降る夏空にきみと眠る 下 (竹書房文庫)作者:ジャスパー・フォード出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/06/27メディア: 文庫舞…

『ダウントン・アビー』 マイクル・エングラー監督 ユニバーサル,2019

なんとかまだやってた、映画『ダウントン・アビー』@新百合ヶ丘イオンシネマ。時期はドラマ版が終わったちょっと後*1。なんと国王陛下夫妻がダウントンに一泊することになって、それが三週間後(だったかな?)。使用人たちも大いに張り切り、先生として就…

『東京の子』 藤井太洋著 KADOKAWA,2019-02

東京の子作者: 藤井太洋出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2019/02/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見るオリンピックが終わった少し後の東京。新たに制定された移民法のおかげで、東京には外国人労働者があふれていた。主人公仮部諫牟(かりべ・い…

『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか:生き物の「動き」と「形」の40億年』 マット・ウィルキンソン著/神奈川夏子訳 草思社,2019-02

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年作者: マットウィルキンソン,Matt Wilkinson,神奈川夏子出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/02/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見るいささか冗長な日本語題だけど、内容を端的…

『予測マシンの世紀』 アジェイ・アグラワル、ジョシュア・ガンズ、アヴィ・ゴールドファーブ著/小坂恵理訳 早川書房,2019-02

予測マシンの世紀: AIが駆動する新たな経済作者: アジェイアグラワル,ジョシュアガンズ,アヴィゴールドファーブ,小坂恵理出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/06メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る猫も杓子も AI の昨今。し…

『現代の死に方: 医療の最前線から』 シェイマス・オウマハニー著/小林政子訳 国書刊行会,2018-10

現代の死に方: 医療の最前線から作者: シェイマス・オウマハニー,小林政子出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2018/10/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る人はいつか死ぬ。どう死ぬか。大抵の人は病院で。それも急性期病院で、挿管され、あるい…

『魔法を召し上がれ』 瀬名秀明著 講談社,2019-05

魔法を召し上がれ作者: 瀬名秀明出版社/メーカー: 講談社発売日: 2019/05/16メディア: 単行本この商品を含むブログを見る瀬名秀明といえば『パラサイト・イヴ』の印象が未だに強い。というのはまあ個人的な感覚だが、デビュー作が映画化されてヒロインが葉月…

『生まれ変わり』 ケン・リュウ著/古沢嘉通,幹遙子,大谷真弓訳 早川書房:新☆ハヤカワ・SF・シリーズ,2019-02

ISBN:9784153350434 『紙の動物園』(→おれの感想)『母の記憶に』(→おれの感想)で日本の読者にもすっかりおなじみケン・リュウの第三短編集。なにしろここまでの二冊が素晴らしかったので今回もどれぐらいやってくれるかと期待が高まりまくった状態で読ん…

『かがみの孤城』 辻村深月著,2018 ポプラ社,2017-05

かがみの孤城作者: 辻村深月出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2017/05/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (25件) を見る言わずと知れた、2018 年の本屋大賞受賞作。 主人公こころは中学校に上がってまもなく不登校になる。学校に行くことができず、フ…

『バイオハッキング―テクノロジーで知覚を拡張する』 カーラ・プラトーニ著/田沢恭子訳 白揚社,2018-11

バイオハッキング―テクノロジーで知覚を拡張する作者: カーラ・プラトーニ,田沢恭子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2018/11/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「テクノロジーで知覚を拡張する」と聞いて、どんなものを思い浮かべるだろうか。個…

『ダークウェブ・アンダーグラウンド -社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち-』 木澤佐登志著 イースト・プレス,2019-01

ダークウェブ・アンダーグラウンド 社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち作者: 木澤佐登志出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2019/01/17メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るインターネットのアンダーグラウンドの…

『ジャイロモノレール』 森博嗣著 幻冬舎:幻冬舎新書,2018-09

ジャイロモノレール (幻冬舎新書)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2018/09/27メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見るおそらく皆さん聞いたこともないであろう言葉が書名になっているが(おれももちろん読むまで知らなかった)、これは…

『零號琴』 飛浩隆著 早川書房,2018-10

零號琴作者: 飛浩隆出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/10/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る著者の第二長編。七年前に SF マガジンで連載していたのだが、連載終了後もなかなか単行本にならず、その後長い改稿を経てようやく刊行さ…

『虚構世界はなぜ必要か?:SFアニメ「超」考察』 古谷利裕著 勁草書房,2018-12

虚構世界はなぜ必要か?: SFアニメ「超」考察作者: 古谷利裕出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2018/12/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見るはてなダイアリー「偽日記@はてな」でおなじみ*1、古谷利裕氏の著作。勁草書房のウェブサイト「けいそう…

『ハロー・ワールド』 藤井太洋著 講談社,2018-10

ハロー・ワールド作者: 藤井太洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/10/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (4件) を見る連作短編集。一篇ずつは別々に発表されていて独立した短編としても読めるが、語り手のプログラマー文椎泰洋(…

『海獣の子供』 渡辺歩監督/STUDIO 4℃ 製作 東宝,2019

言わずと知れた、五十嵐大介の代表作のアニメ映画化。原作はそこそこ厚めの B6 単行本五冊なので、全部は収められないだろうけどハイライトみたいにもならずに済みそうな、考えようによっては難しい尺だったが、渡辺監督は少女のひと夏の成長をどうやらメイ…

『オブジェクタム』 高山羽根子著 朝日新聞出版,2018-08

オブジェクタム作者: 高山羽根子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2018/08/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る三編を収めた短編集。表題作「オブジェクタム」はやや長いが中編と言うには短いか。語り手が自分の育った町を再訪し、少…

『世界史を変えた新素材』 佐藤健太郎著 新潮社:新潮選書,2018-10

世界史を変えた新素材 (新潮選書)作者: 佐藤健太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る歴史の最初の方は、道具とその素材によって語られる。石器時代、青銅器時代、鉄器時代。それ…

『デザインされたギャンブル依存症』 ナターシャ・ダウ・シュール著/日暮雅通訳 青土社,2018-06

デザインされたギャンブル依存症作者: ナターシャ・ダウ・シュール,日暮雅通出版社/メーカー: 青土社発売日: 2018/06/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るこれはけっこうすごい本だった。主にアメリカの、カジノに入り浸るギャン…

『絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ』 M・R・オコナー著/大下英津子訳 ダイヤモンド社,2018-09

絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ作者: M・R・オコナー,大下英津子出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2018/09/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る絶滅危惧種、というと、守らなければならない気がする…

『兄弟の血 熊と踊れⅡ』(上・下) アンデシュ・ルースルンド、ステファン・トゥンベリ著 ヘレンハルメ美穂、鵜田良江訳 早川書房:ハヤカワ・ミステリ文庫,2018-09

兄弟の血―熊と踊れII 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: アンデシュルースルンド,ステファントゥンベリ,ヘレンハルメ美穂,鵜田良江出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/09/19メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る兄弟の血―熊と踊れII 下 (ハ…

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 伊藤亜紗著 光文社:光文社新書,2015-04

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)作者: 伊藤亜紗出版社/メーカー: 光文社発売日: 2015/04/16メディア: 新書この商品を含むブログ (35件) を見る著者がウェブで続けていたインタビューをもとに再構成した本。タイトルの通りで、目の見え…

聖戦記エルナサーガ

ごろごろしながら『聖戦記エルナサーガ』を読んでいたら一日終わってしまった。 このブログを検索してみたらこの漫画に言及していなくて逆にびっくりしたのだが、個人的にはけっこう好きな漫画だったりする。「その昔勇者が魔獣を倒したが、魔獣は死してなお…